PayPayやLINEPayの盛り上がりや、政府のキャッシュレス化の後押しもあり、現金主義が多い日本の企業も、様々な決済の導入を考えているのではないでしょうか?
クレジットカード決済で決済代行会社を探す前に、まずあなたの自社のビジネスが「ネット」か「実店舗」によって、解説がかわってきますので、この記事ではその両方を解説いたします。
結論を先に言えば、ネットの大手事業者はGMOペイメントゲートウェイ社を入れた6社の中から、決済代行会社を選び、実店舗事業者は幅広い決済に対応しているAirペイが基準となるでしょう。
本日は決済代行会社で15年働いた実績のある筆者が、決済代行会社を使って、クレジットカード決済を導入・決済代行の乗り換えをする際のポイントを解説します。
クレジットカード決済導入先は「①ネット」か?「②実店舗」か?それによって選び方が違います。
まず、クレジットカード決済導入のために決済代行会社を探しているのなら、導入する自社が「店舗」なのか、「ネット」なのかによって解説が変わってきますので、下記から必要な解説を読んでください。
また、①ネットにおいても「中小事業者」と「大手事業者」では、決済代行会社の選び方は異なります。
「中小事業者」は厳密に言えば、決済代行会社と直接付き合う必要がありません。なぜなら、中小企業の自社ECシステムのプラットフォームは、メイクショップやショップサーブ、カラミーなどのASPのECシステムであり、それらのシステムには、決済代行会社が提供するシステムがすでに入っているため、決済代行会社と付き合う必要がありません。
ですから、本日は「①ネット」の決済代行会社の選び方は大手事業者に限って解説いたします。
①ネットの決済代行会社を選び方
大手事業者なら決済代行会社大手6社からクレジットカード決済を導入選ぶべき!理由は「細かい要望」を実現できるのは大手のみ!
まず、大手事業者なら決済代行会社は大手から導入すべきです。なぜなら大手になればなるほど、決済システムに対する要望も細かいため、それを実現できるのは大手決済代行会社だけだからです。
◆決済代行会社 大手6社
①GMOペイメントゲートウェイ(GMO-PG)
②ベリトランス
③ソフトバンク・ペイメント・サービス
④ソニーペイメントサービス
⑤SMBCファイナンス
⑥ペイジェント
決済代行会社の手数料の考え方
決済手数料は、大手の場合は個別見積りが基本です。ですから「ここが1番安い」という会社は存在しませんが、加盟店の売上規模によって手数料は変わってきます。しかし下記の3つの費用
「初期費用」
「手数料」
「トランザクション費用」
を聞いた上で全ての費用を含めた3年程度のシミュレーションを作らないと、どの決済代行会社が安いのか判別できません。とはいえ、どの大手の決済代行会社であれば手数料の差は1%未満の少ない範囲内となるはずです。
手数料よりも大切なのは大手にクレジットカード決済を導入した実績!
すでに過去の記事で各社について解説しましたが、特に大手の実績が強いのは「GMO-PG」と「ベリトランス」です。もし、この記事を呼んでいるあなたが、決済を導入する担当者だとしたら、このどちらかの会社は必ずコンペに入れなくてはいけません。
GMOペイメントゲートウェイを聞いた事ない方は、下記の解説記事をご覧ください。
なぜなら大手事業者であれば、細かい要望の実現の可否こそ、クレジットカード決済システムの入れ替えの可否を握っていると言っても過言ではないからです。
例をあげましょう。
◆事例①売上確定処理の与信から何日後まで許容できるか?
通常、クレジットカード決済では、注文を入れる時に与信をとり、出荷した後に「売上確定」をするわけですが、これが予約商品だと、出荷まで時間がかかります。この許容範囲は決済システムによって変わってくるのです。例えばA社なら○日までOKだが、B社では無理。という具合です。
このように、一般にクレジットカード決済といっても歴史のある大手になると、多くの固有の事情があるため、このような細かい要望を実現できるのは、数々のクレジットカード決済を導入してきた大手決済代行会社に限られるのです。
決済代行会社に頼むだけではネット店舗にクレジットカード決済システムを導入するのは無理!担当者が自社のクレジットカード決済の運用を理解しているか?
大手6社といいましたが、これらの会社に依頼するだけでは、自社のクレジットカード決済の入れ替えは上手くいきません。なぜなら大手小売り業の多くの企業は古い決済システムを使っています。
そして担当者もその古い決済システムに慣れているため、
大手の担当者「うちのクレジットカード決済の運用はスタンダードなものでしょう!」
と思い込んでいるケースが多いのです。しかし、蓋を開けてみると「全く現在のクレジットカード決済のスタンダード」とはかけ離れた運用をしているケースが多いのです。例をあげてみましょう。
◆古いクレジットカード決済の運用事例
クレジットカードの売上をキャンセル処理を行うときに1万円の処理を二回キャンセルする時があります。
昔のシステムでは、「1万円 + 1万円 = 2万円」 なので、2万円を一回分としてキャンセルすることが可能でした。
しかし、現行のシステムでこのようなクレジットカード決済のシステムを許容しているところはありません。現行のクレジットカード決済のシステムでは1万円を2回キャンセルしないといけない仕様になっています。
なぜなら、仮に2回の注文に対し、1回のキャンセルでの処理を許容すると、例えばキャンセルを間違って3万円で入力した場合、逆に1万円の送金になってしまいます。そしてクレジットカード決済での送金という行為は資金決済事業者の資格が必要だったりと、法律に引っかかってしまいます。
しかし、昔の決済システムではこういったことも許容されていたのです。
昔の決済システムはこのようにオーソリ(与信)リアルタイムではなかっため、2回の注文に1回のキャンセルでも許容するシステムだったのです。もちろんこういったこともカード会社に了承をとって、小売りもクレジットカード決済を運用していました。
そして、2019年の今でもこういう古い決済システムは生き残っているのです。その傾向は決済の運用が複雑な大手ほど残っているのです。基幹システムなどがブラックボックスのフルスクラッチを使っている場合は、独特の運用になっていることが多く、クレジットカード決済を入れ替えるにしても、このような自社の独特の決済の運営を理解できていないと、リプレイスが出来ません。
システムがクラウドやパッケージの場合は、このような問題はあまりありません。
ですから、決済の担当者が自社の決済の運用を正しく、決済代行会社に説明できないと大変なことになります。正しく説明することができれば、スタンダードな運営じゃない点は決済代行会社が指摘してくれるので、この点は非常に大切なポイントです。
クレジットカード決済手数料が無料の会社などはどうなのか?
無数にある決済代行会社には、決済手数料が無料をうたっている企業もありますが、決済会社からクレジットカード会社への手数料の支払いはあるため、実際はコストが発生しています。
無料の場合は、それをマーケティング費用として持っており、一定の規模(加盟店数)になった時点で手数料を発生させるビジネスのはずです。あるいは決済手数料を無料にする分、付帯するサービスでお金をとるビジネスモデルであることが考えられます。
クレジットカード決済の手数料の考え方のベースですが通常大手であればあるほど、手数料が安くなります。(あくまで考え方として捉えてください)なぜなら、決済代行会社にも資金が必要です。資金は自社調達の場合もありますし、金融機関から借り入れをします。
そして大手であれば、銀行から安い金利でお金を借りることができますが、銀行から資金を調達できない決済代行会社はノンバンクから資金を調達するために、金利は高くなり、その金利が手数料に反映されるからです。
このような考え方をベースにすると、筆者は決済代行会社においては、主要な決済代行会社から選んだ方が良いという意見です。
大手事業者が決済代行会社のコンペをするなら「GMO-PG」を1社入れて、合計3社でコンペをしよう。
コンペを実施する場合は、あまりに多くの企業に声をかけると取り仕切りが非常に大変です。筆者の経験ですとコンペは3社で良いと思います。2社は「つきあいのある決済代行会社」や「グループや銀行の紹介」でも良いですが、1社はGMO-PGを入れてください。なぜなら最大手ですから、GMO-PGが基準となれば、比較がしやすいからです。
②実店舗の決済代行の選び方
もともと実店舗にはクレジットカード決済の決済代行会社は、ほぼ存在しません。
なぜかというと「クレジットカード会社」が直接、店舗に営業して端末を売るビジネスモデルだったので、そもそも代行会社を置く必要がなかったのです。
昔からある実店舗の決済代行会社とは、飲み屋街専門の代行会社や、かなり特殊なジャンルやカテゴリーにしか存在しませんでした。
しかしながら、現代においてはクレジットカード決済だけでなく、電子マネーやQRコード決済などの様々な決済手段を消費者側が求めるようになっているために、店舗側からそういう決済手段をまとめて提供してほしいという要望があがり、それをスマホ決済という形で、サービスが提供されている現状があります。
スマホ決済自体はカード会社が直接提供しているわけではないですが、大手のカード会社がスマホ決済会社に出資したりしているビジネスモデルをとっており、結果的にはクレジットカード会社がスマホ決済の事業者を決済代行会社の様に扱うようになってきたと見なすこともできるでしょう。
また、実店舗でも、有名デパートなどの大手はカード会社と直で契約していますが、大手の場合は、すでに導入している実店舗のPOSでクレジットカード決済を吸収対応しておりますので、ここでのクレジットカード決済の解説は、そういった大手以外で、実店舗の決済代行会社を探している方向けの解説となります。
それではスマホ決済の大手を解説いたします。
スマホ決済のクレジットカード決済の会社の大手5社
スマホ決済でクレジットカード決済ができるのは、下記の5社です。
①Squere(スクエア)
②STORESターミナル(旧コイニー)
③楽天ペイ
④Airペイ
スマホ決済5社に言えることは、クレジットカード決済の手数料です。スクエアは3.25%で、残りの3社は3.24%とかなり安くなっております。なお手数料はどこも同じのため、手数料では、スマホ決済を選ぶ要因になりえません。
翌日入金で選ぶなら、スクエアか楽天ペイ
中小事業者にはキャッシュフローが不安定な方も多いでしょう。そのためクレジットカード決済導入には「クレジットカードはすぐに売上が資金化されない!」という悩みがあると思いますが、スクエアや楽天ペイは、クレジットカード決済の売上が翌日に指定の銀行口座に入金されます。
ただし、銀行の縛りがあり、スクエアの場合はみずほ銀行か、三井住友銀行である必要があり、楽天ペイの場合は、楽天銀行のみとなります。スクエアのメガバンク対応は非常に嬉しいところでしょう。さらにスクエアの場合は、それ以外の銀行であったとして一週間以外に入金される速さが魅力です。
端末の置き場所がレジにない!オシャレな端末がいい!という方はスクエア
スマホ決済の端末は大きくはありません。下記はSTORESターミナルの端末ですが、大きさは手で握れる程度です。
ただし、スクエアの端末であれば、小さくて結構オシャレです。
このように端末のデザインで選ぶのなら、スクエアが魅力的です。
Suicaなどの電子マネーは「Airペイ」や「楽天ペイ」が多くの決済手段に対応している!
電子マネーには「STORESターミナル」「楽天ペイ」「Airペイ」の各社対応していますが、その中でもAirペイは下記の電子マネーに対応しております。
Suicaなどの交通系
Apple Pay
QUICPay
さらに楽天ペイは
Suicaなどの交通系
Apple Pay
Google Pay
QUICPay
Edy
など多くの電子マネーに対応しており、クレジットカード決済で電子マネーに対応させるなら、どちらかの会社になるでしょう。コイニーの電子マネーに対応してますが、この2社に比べると対応電子マネーが少ない印象です。
中国人向け決済なら「Airペイ」ならAlipayとWeChatPayの両方に対応している
中国人向け決済には「STORESターミナル」と「Airペイ」のどちらかになりますが、Air ペイは2大中国人用QRコード決済の「AliPay(アリペイ)」と「WeChatPay(ウィチャットペイ)」の両方に対応しております。これは日本で唯一のスマホ決済になり、しかも、電子マネーの決済を付け加えると、最も多くの決済手段に対応しているのがAir Payと言えます。
流行のQRコード決済も取り入れるなら「PayPay」「LINE Pay」に対応しているAirペイ
クレジットカード決済対応のスマホ決済4社で唯一、LINEPayに対応しているのが、Airペイです。Airペイを導入すれば、PayPayとLINEPayにも対応することができます。
このように幅広い決済手段に対応しているのが、Airペイなのです。
クレジットカード決済の決済代行会社のまとめ
クレジットカード決済の決済代行!というと、厳密に
ネットと実店舗は違う!
ということを理解している方は少ない印象だったので、今回は基本的なことからまとめさせていただきました。
ネット事業者が決済代行会社を選ぶ時は、GMO-PGのような大手6社から選ぶのが基準となり、実店舗事業者であれば、電子マネーやQRコード決済にも対応したAirペイが基準となるでしょう。